Elecmanのブログ

日々の雑記

天野こずえ先生の「夢空界」を読んでほしい

天野こずえ先生といえば『ARIA』や『あまんちゅ!』がもちろん有名ですが、僕が初めて先生の作品を読んだのは月刊少年ガンガンに掲載された「夢空界」でした。

この短編集はデビュー作をはじめ、天野先生の初期読切作品が収録されています。今の絵柄とは大分違いますが、『浪漫倶楽部』を読んでいた自分からすれば懐かしいんですよね。商業誌デビュー作の「前夜祭」もいいし、「刹那の夏」もすごくいいです。ただ個人的には、やっぱり短編集のタイトルにもなった「夢空界」が一番好きです。

あらすじ

演劇部に所属している開夢(はるむ)たちの前に華音(かのん)という幽霊部員が現れます。彼女は文化祭で演劇部が上映する舞台「夢空界」のヒロインに抜擢され、開夢たちと文化祭までの時を過ごします。彼女は一応演劇部員だというのですが、3年の今になるまで体調を崩して入院していたというのです。空白の2年半を取り戻すために一丸となって舞台に取り組む開夢たち。そして舞台本番を迎えるのですが…。

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切ないお話

当時読切で読んで心にズシンと響きました。

なぜ、華音は2年以上も演劇部に来なかったのか?なぜ中学最後の文化祭前に現れたのか?彼女が舞台に込めた想いとはなんだったのか?疑問は物語の最後に明らかになります。

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華音が演劇部に馴染めずにいたところに開夢が来てくれたシーン。空白の期間の重さと、それを埋めていく日々が切なくも温かい…。

 

後で手に入るかどうかもわからなかったので、掲載されたガンガンの切り抜きを作って大事に取っておいた記憶があります。僕にとっても思い入れの強い、素晴らしい作品です。